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2006年10月05日

真のプロとは

 昨日のプロ野球、首位を走るドラゴンズはカープとの大事な試合を8-0で快勝したが、この中で気になることがあった。

 終盤の9回に、8点差でリードしていながらワンポイント・リリーフを3人もつぎ込んだのだ。つまり、1投手で1アウトずつ取ったことになる。

 これに対して、広島のブラウン監督ははっきりと不快感を示した。これは当然というものだ。

 野球をあまりご存じない方はわからないかもしれないが、大量得点差で勝っている試合では余計なことをしないというのが暗黙の了解になっている。それが、対戦相手への礼儀だからだ。

 たとえば攻撃ではもうバントをしない、守備ではリリーフ陣に“試し投げ”をさせるようなことはしない、などだ。

 なぜそうしたことが必要かということは、負けている側の立場になってみればわかりやすい。大差をつけられた状態であれこれされては、やられたチームは「遊ばれている」と感じるのも無理はない。負けるほうが悪いといえばそれまでだが、やはり観ているほうも気分のいいものではないだろう。

 ただその一方で、野球というスポーツは9回裏2アウト2ストライクまで追い込まれたとしても、まったく何が起こるかわからないものでもある。だから、どんなに点差が開こうとも堅実なプレイを続けるというのはある面では正しい。

 しかし野球に限らず、スポーツというものは相手がいてこそ成立するものだ。だから、対戦相手への敬意をもつ必要がある。そうでなければ、スポーツが勝利目的だけのための荒んだ世界になってしまうだろう。

 その点、落合監督はやや“やり過ぎ”の面があるような気がしてならない。点差が開いてもバントをし、継投をする。堅実といえば確かにそうなのだが、何か大切なものが抜け落ちてはいないだろうか。

 勝ちに徹することはプロとして重要だ。しかし、プロとしての役割はけっしてそれだけではない。私は、プロスポーツの選手の役割として四つの重要な柱があると考える。

1. 質の高いプレイ(技術面)

 当然、プロとしてひとつひとつのプレイのクオリティを高く保ち、さらに磨きをかけなければならない。これは当然のことだ。アマチュアより下手なプロに存在価値などない。

2. 勝利への執念(精神面)

 プロであるからには、結果も重要視される。だから、勝負に徹してこそプロともいえる。

 ただ、これはプロ選手に限ったことではない面もある。高校野球が毎年あれだけ盛り上がるのも、球児たちが必死だからだろう。この点、日本のプロ野球選手は見習わなければならないところもある。

 このことが、大事なことを示唆してくれている。勝負にこだわることはプロだけでなくアマチュアでもできることなのだから、これだけをもってプロとしての役割を果たしているとはとても言えない。

 そして失念され、軽視されてしまっているのが以下の二つの柱である。

3. 夢を与えること(社会面)

 観ている人たちを感動させ、いくばくかの夢を与えることはプロスポーツに限らず、プロフェッショナルの世界では共通して重要なことだ。夢の感じられない世界にファンや選手が引き付けられるはずがない。

 では、ひたすら勝負に徹して、ややもするとえげつないことまでするチームや選手に、ファンが、特に子供たちが感動するだろうか。答えは、Noと言わざるをえない。つまり、2を重視しすぎるとかえって弊害が大きいということだ。

 このことに気付いていない人々が、現在はあまりにも多い。そして、より理解されていないのが次の4である。

4. 模範となること(社会面)

 どんな世界でも、プロはその分野の頂点に位置している。だからある意味、みんながプロを見るのだ。彼らがいいことをすればアマチュアも見習うだろうし、悪いことをすれば同じように真似をしてしまうだろう。

 つまり、プロはその分野の全体的な質を高めるために、その責任は重大なのである。よくも悪くもプロの世界は注目されているから、その関係者、特に子供たちに与える影響は大きいのである。

 かつてJリーグでラフプレイが横行していた頃、アマチュアの世界でも同じ傾向が出てしまった。そして現在、プロの選手があまりも審判に抗議をするから、以前はほとんど見られなかったアマチュアでの同様のことが頻発してしまっている。そういった最悪の事例を防ぐためにも、プロは常に周囲の模範となることを意識しなければならない。

 その点プロ野球界も、二段モーションを禁止したことは評価に値する。これは国際基準に合わせるという目的もあるが、それ以上に子供たちがいたずらに真似をしないようにするためにも有効だ。日本のプロ選手の真似をしていたら、世界の舞台でボークを取られてしまったというのでは、努力を続ける子供たちがあまりにも浮かばれない。

 プロ選手は、確かに高度なテクニックと勝利という結果が重視される。しかし、それがすべてではないのである。勝てばいい、うまいプレイをすればそれでいいというのは、むしろアマチュア的な思考といえるだろう。

 現在の日本のプロ野球界はどうだろうか。私自身は、勝利至上主義のやり方がドラゴンズ以外にも蔓延し、プロとしての重要な要素がいくつか欠落している現状に危険なものを感じてならないのだが。

投稿者 KATANA : 2006年10月05日 03:08

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