« 「海賊版被害額」の誤謬 (4/5) | メイン | 新ブログへ移行しました »

2006年07月30日

「海賊版被害額」の誤謬 (5/5)

総括

 ここまでは海賊版によって権利者に被害が出ていることは間違いない、 しかしその実態はわからないというスタンスで論じてきた。だが、必ずしもそうではないのである。 複製品が出回ることでメリットも存在することは間違いないのだ。

 たとえば、宣伝効果が上げられる。無料で、ある著作物を入手したユーザーは、 それによって作品やその制作者を知ることができる。しかも権利者の側からすれば、宣伝費は一切かかっていないのである。 違法な複製による被害をあえて無視すれば、これほど効率的なプロモーションは他にないだろう。

 また、こうした場合、複製品の輸送・送信にかかる費用はユーザーが負担していることを考えれば、 後で料金を徴収する仕組みさえ生み出せば、ほとんどコストがかからないにもかかわらず利益を上げられるという、 権利者からすればたまらないシステムを生み出すことも可能性としてはあるのだ。

 もちろん、だからといって違法な複製行為を正当化できるものではないし、 違法行為はどんな理由があれ違法でしかない。その点、他者の権利を侵害する行為をしているユーザーに弁明の余地はない。

 ただし、上記のとおりモノと情報とでは被害の性質がまるで違う。よって、 一般の人々が著作権侵害を気軽にやってしまうのも無理はない面もある。知的財産を守るという意識がモラルとして定着していない以上、 罪の意識が希薄なのはむしろ必然である。

 この10年、インターネットが極めて急速に普及し、短期間のうちに状況が一変していったこともあり、 権利者の側もユーザーの側も古い考え方を改めることがまるで追いついていない。そういった面では、権利者が行き過ぎた行為をしたり、 ユーザーが気軽に侵害行為をしてしまうのも仕方がないといえる。だから、今われわれに求めてられているのは、状況を冷静に見つめ、 それに慎重かつ的確に対応していくことなのだろう。

 現在は時代の転換期である。それだけに、社会の舵取りを成功させるか失敗させるかによって、 今後数十年に大きな影響を与えることは間違いない。次代の担う人々に余計な負担を課さないように、今を生きるわれわれが頑張らなければならない。

投稿者 KATANA : 2006年07月30日 20:52

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://katana-edge.net/blog/mt-tb.cgi/130

コメント

コメントしてください




保存しますか?

(書式を変更するような一部のHTMLタグを使うことができます)